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【福岡県CIRからの寄稿】九州国立博物館で開催したイベント

福岡県の国際交流員である黄紫娟さん(2020年度派遣)から寄稿いただきました。

九州国立博物館で開催したイベント

あっという間にぽかぽかと温かい春に別れを告げ、蒸し暑い夏を迎える五月になりました。九州国立博物館(略称:九博)に来て、もう半年を楽しく過ごしました。九博の秋、冬や春の異なる美しさを実感したと同時に、九博の生気に満ち溢れている夏を首を長くして待っています。

今回はこの半年において九博で体験した面白い活動を皆さんにシェアーしたいと思います。では、一緒に見てみましょう。

活動①:弥生時代の磨製石包丁を製作しよう

日本の弥生時代に生まれた磨製石包丁は包丁と名づけられましたが、一般に魚や肉・野菜の調理に用いられた訳ではなく、農耕の伝播につれて木製具を作るために発明されたそうです。磨製石包丁は主に凝灰岩など硬質の石材が用いられます。作る際に長さ10cm・幅1-3cm程度の厚さが適当で、ちょうど手のひらの中に収まるようなサイズの板状の石を選ぶと作りやすいです。
では、製作の流れについて説明します。まず選んだ石の形を半月型の扁平な形状に揃えるために彫ります。また、片面を鈍い刃(→ナイフ)のようにし、側面に穴を二つ開けます。この二つの穴は脱落防止のために、紐を通し、指に引っ掛けたり手の甲に巻きつけたりすることで固定して使えるようにしたものです。最後は包丁の全身をきれいに磨いて仕上げたら完成です。

製作の方法はそんなに複雑ではないですが、九博の研究員達と一緒に石を選び、形を揃え、そして穴を開け、最後に仕上げまでやると4時間ぐらいかかりました。体験したからこそ文化財の貴重さがよく理解できました。製作の流れを楽しみながら古代の人類の知恵もよく感じました。完成した磨製石包丁及び製作を続けている研究員達の姿を見たら、私の魂は今から遠く、文明が芽生えた原始時代に戻ったようです。今日まで守り伝えられてきた貴重な文化財をもっと遠い未来に守っていくのは非常に意味があることだと改めて感じました。

活動②:九州国立博物館留学生イベント

日本では、毎年11月3日は文化の日となっています。九州国立博物館は国際的な視点を踏まえ、アジア各国の文化交流を積極的に推進しているため、毎年文化の日である11月3日を留学生の日とし、様々なイベントを行ってきました。展示観覧はもちろん、恒例のバックヤードツアーをはじめ、茶道体験、勾玉作り、博物館の裏側の紹介及び学芸員から直接話を聞く等普段なかなか経験できないプログラムを企画してきました。活動に参加しに来る留学生は面白いイベントを体験できるだけではなく、九博四階にある交流展覧会を無料で観覧することを通して自分の知識を豊かにし、日本文化への理解を深めることもできます。さらに、九博の限定記念品がもらえますよ。

2020年の年初に広がってきた新型コロナウイルス感染症により、日本各地も開催予定のイベントを中止せざるを得ませんでした。九博はこのような大変な時期でも留学生に日本文化と触れ合うチャンスを提供するために、三密を避け、感染対策をしっかり行った上で伝統的な留学生イベントを行いました。今回の活動テーマは「チャレンジ!文化交流展クイズ王!」です。これは国際交流員達が数日間悩んだ後、思いめぐらして練ったアイデアです。参加者は自分の携帯電話でクイズのQRコードをスキャンした後、自由に文化交流展を観覧しながら、クイズに答えられます。また、多言語(英中韓)クイズも用意したので、日本語が上手ではない方でもクイズに答えられない心配は全くないです。回答を終了した後、さらに詳しい多言語説明文(英中韓)が付いているので、間違えた問題の確認及び文化財に関する知識を深めること、日本文化をより一層深く理解することができると思います。

 活動③:寒糊炊き

寒糊は大寒の時期に炊いた小麦粉でんぷん糊で、文化財の修復に不可欠な糊(接着剤)として使用されています。日本の元禄時代にはすでに使われた記録があります。寒糊は水にさらされると簡単に剥がれる特徴があるので、掛軸や巻子など軸装の巻き伸ばしを柔軟に行うための裏打ちに用います。書画類の文化財に使うと文化財の再修理が少しやりやすくなると同時に、貴重な文化財への損害リスクを最小化することができます。

「寒糊炊き」は、年に一度、九博の職員及び九博のボランティアさん達が文化財保存修復施設に集まる恒例行事となっており、前回は1月23日(金)に実施しました。小麦のでんぷんと精製水を炊きあげて作った糊を甕に貯え10年以上冷暗所に保管し、微生物の働きで熟成させることで接着力の弱まった古糊に変化します。この古糊づくりは、毎年雑菌の少ない寒い時期に作られるので、「寒糊炊き」と呼ばれます。

文化財保護は皆さんの力が必要であり、最後まで根気よく頑張る覚悟をしなければいけないと思います。また、文化財を遠い未来まで守っていく途中に、文化財への再修理によって文化財の命を伸ばしていきます。大切な文化財の命の延長に伴い人類文化が永遠に続きます。

活動④:九州国立博物館バックヤードオンラインツアー

コロナ禍において、感染拡大防止のため人々の日常生活が激変しつつあり、九博でも新たな課題が出てきました。博物館の感染防止対策をどうすればいいか、どうやって皆さんに九博を楽しんでもらえるか、このような人を集められない時期にどんなイベントが行えるかなどなど、九博の職員達はずっと考えています。そして、思案を練った上で今回の「九州国立博物館バックヤードオンラインツアー」というイベントを企画しました。

今回のオンラインツアーはZOOMによって各地域にいる皆さんと距離を越え、繋げるようになりました。皆さんは優しい解説員と一緒に九博に来てもなかなか入れないバックヤードを見学しました。オンラインツアーですが、皆さんで一緒にクイズを当てたり、疑問をシェアーしたりすることを通してツアーが盛り上がり、楽しんでくれました。伝統的な見学とはちょっと違いますが、遠いところに住んでいる方々にも九博の魅力を感じてもらってよかったと思っています。

最後に、皆さんに伝えたいことがあります。九州国立博物館は中国との交流をより良く展開するために、ウェイボーを新設しました。ウェイボーは九博の任期内の中国国際交流員に運営され、不定期に九博の展示及び活動についての情報を皆さんに紹介します。ぜひ下記のQRコードをスキャンし、九博をフォローしてくださいね。ウェイボーによって皆さんとの交流を楽しみにしています。

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